投資で大切な考え方 「期待値」 ~麻雀編~
麻雀のルールを知らなければ今回の話はちょっと理解し辛いですがご容赦願います。
期待値計算は麻雀の中級~上級者はリーチをかけるときによく考えています。
次のような場面を考えてみて下さい。
ゲームの状況
① あなたは子(西家)、対面に親(東家)
② 全員の点数は25000点
③ 9順目に親がリーチをしている。ドラに該当する九萬のカンが一つ入っており12000点以上が確定している状態。リャン面待ちです。親はとても正直な打ち手で「ノミ手だから裏ドラに期待か~」と言っています。
④ 今(9順目)はあなたのツモ順、あなたもここでリーチをかけることが出来ます。役はリーチのみ。裏ドラが1枚乗ってツモで4000点もロンで2600点、裏ドラが乗らなかった場合ツモで2000点、ロンで1300点。リャン面待ちです。待ちは1ピン-4ピン。
⑤ 他家(南家、北家)は親リーチに対して「あ~あもうダメだべ」とベタオリ(絶対に相手にロンされないであろう牌を最後まで切り続ける行為)をほのめかしていました。他家はオリの名手です。
あなたならここでリーチしますか?
中~上級者ならたいていの人はリーチせずベタオリするはずです。
中~上級者の頭の中では明確な数字では計算していませんが、経験則や上級者の対局から学びリーチしないことを判断します。次のような期待値計算をすることでこの場面でリーチするか否かの判断がより明確になります。
※注意 以下に出てくる数値はあくまで私のざっくりとした予想です。計算を簡単にするために細かい数値にはしておりません。計算が多くなるので親は3倍萬(36000点)、役萬(48000点)は出ず、あなたはマンガン(8000点) ハネ萬(12000点)が出ないこととします。
(1) 確率(あなたがリーチを決断したとき)
親が上がる確率 42%
親がツモ上がりする確率 22%
① そのうち点数が18000点の確率70%
② そのうち点数が24000点の確率30%
あなたが親からロンされる確率 20%
③ そのうち点数が12000点の確率50%
④ そのうち点数が18000点の確率40%
⑤ そのうち点数が24000点の確率10%
あなたがリーチした場合、自分が上がる確率 40%
ツモ上がり出来る確率20%
⑥ そのうち点数が2000点の確率70%
⑦ そのうち点数が4000点の確率30%
ロン上がり出来る確率20%
⑧ そのうち点数が1300点の確率70%
⑨ そのうち点数が2600点の確率30%
※親の上がり確率があなたより少し高いのは先制リーチのためで、先に上がるとそこでその局は終了してしまうためです。
他家が上がる確率 0%(計算を簡略化するため)
⑩ 流局する確率18%
(2) 収支
① 親がツモ上がりした場合(18000点)・・・あなたは7000点(リーチ棒含む)支払います。
② 親がツモ上がりされた場合(24000点)・・・あなたは9000点支払います。
③ 親にロン上がりされた場合(12000点)・・・あなたは13000点支払います。
④ 親にロン上がりされた場合(18000点)・・・あなたは19000点支払います。
⑤ 親にロン上がりされた場合(24000点)・・・あなたは25000点支払います。
⑥ あなたがツモ上がりした場合(2000点)・・・あなたは3000点(リーチ棒含む)得ます。
⑦ あなたがツモ上がりした場合(4000点)・・・あなたは5000点得ます。
⑧ あなたがロン上がりした場合(1300点)・・・あなたは2300点得ます。
⑨ あなたがロン上がりした場合(2600点)・・・あなたは3600点得ます。
流局の場合
⑩あなたはリーチ棒分-1000点支払い。テンパイ料1500点得るので、+500点
しかし 、あなたが次局に供託となったリーチ棒2000点を得られる確率は25%なので期待値500点分を考慮して流局の場合の収支は0点として考えます。
(3) 期待値計算
親がリーチしたとき
① ツモの場合 -7000点×22%×70%=-1078
② ツモの場合 -9000点×22%×30%=-594
③ ロンされた場合 -12000×20%×50%=ー1200
④ ロンされる場合 -18000×20%×40%=ー1440
⑤ ロンされる場合 -24000×20%×10%=ー480
⑥ あなたがツモした場合 ー3000×20%×70%=420
⑦ あなたがツモした場合 ー5000×20%×30%=300
⑧ あなたがロンした場合 ー2300×20%×70%=322
⑨ あなたがロンした場合 ー3600×20%×30%=216
⑩ 流局した場合 0×18%=0
①~⑩の計算結果をすべて足すと期待値はー3534点となります。
次にあなたがリーチしないという決断を下したときの期待値を計算してみましょう。
(1)' 確率(あなたがリーチせず流局までベタオリを決断したとき)
親が上がる確率33%
ツモの場合 33%
①' そのうち点数が18000点の確率70%
②' そのうち点数が24000点の確率30%
③' ロンの場合 0%
④' 流局の場合 66.6%
(2)'収支
①' 親がツモ上がりしたとき(18000点)・・・あなたは6000点支払います。
②' 親がツモ上がりしたとき(24000点)・・・あなたは8000点支払います。
③' ロンされない仮定なので 0点
④' 流局の場合 テンパイ料-1000点支払う。
しかし 、あなたが次局に供託となったリーチ棒1000点を得られる確率は25%なので期待値250円分を考慮して流局の場合の収支は-750点として考えます。
(3)' 期待値計算
親がリーチしたとき
①' ツモの場合 -6000点×33%×70%=-1386
②' ツモの場合 -8000×33%×30%=-792
③' ロンの場合 0点×0%=0
④' 流局の場合 -750点×66.6%=-500
①'~④'の計算結果をすべて足すと期待値はー2678点となります。
まとめると
リーチした場合の期待値 ー3534点
リーチせずベタオリした場合の期待値 ー2678点
よってリーチしない判断をしたほうが期待値が857点も高いことが分かります。
よって、今回のような状況にあった場合ベタオリが正解になります。
麻雀は最後に1位になると非常に大きなボーナス点が付いたり、点差や残り局数など状況が複雑に変わりますので判断が非常に難しいです。そこが面白いところではあるのですが、期待値を計算してみることで実は今まで信頼していた戦術・判断が実は損している判断だった!ということが分かったりします。